美しいは、気持ちいい

 19日の日曜日に横浜能楽堂であった「首里の祝い」という舞台を見てきた。あぁ〜、凄く面白くて、凄くステキで、ちょー気持ちよかった。こんな贅沢な凄い空間・時間の中に居ることができて幸せですた。
 どんな内容で出演者のラインナップだったかは、こちら

 舞台鑑賞ひよ子組のオイラの煩悩にまみれた感想。真面目な解釈とかまだ良く分かっていません。思ったままですよってに。
 能舞台という舞台装置をどう使うのか、とっても興味深々で。紅型幕とかは使わずに素の能舞台のままでしたね。地謡さんたちも毛氈も何もなくて板の間にお座りあそばしておらしゃりましたし。もちろん生音。超アコースティクゥで。

 初めてこの目で直接観る宮城能鳳と島袋光晴。翁と婆のかぎやで風。その立ち姿、動きにうっとりです。手首の返しとかめちゃめちゃ美しいわぁ〜。婆の衣装がきれいだったねぇ。あかるい黄緑とサーモンピンクの表裏。
 「四季口説」の若衆は二人だったのだけど、何気にお揃いに見えてちょっと色違いの着物が素敵で。クリーム色の地に花や鳥(?多分)が描かれ、全体に大きな格子が描かれた若衆の着物。その格子の色が色違いなんだよね〜。赤い格子と青い格子。よくみないと遠目には同じように見えるその綾。ニクイねぇ。しゅてき、しゅてき♪って、着物ばっかりに注目しちゃってますが、踊りもえがったす。
 そんで、そんでオイラの萌メーターがビンビンになっちゃう「かせかけ」でつよ。きゃぁ〜♪なーんで、これがこんなに好きなんでしょう。二揚げのあの二曲の中で実際には聞こえないけど頭の中で鳴ってる和音がきっと萌なんだな。とにかく唄のメロディと楽器の絡みにゾクゾクしてしまうのだ。そこに踊りのあの動きが相まって…、はふぅ気持ちええぇぇぇ。目と耳からくる脳内快楽。あの、いーとまきまきーいとーまきまきーなところの手首と糸巻の動きとかもうっとり。そりゃぁ、唄も覚えちゃうって。iPodに「かせかけ」だけでどれだけ入ってるか。「干瀬節」に至ってはもう、あんた。悶絶!
 「上り」もかっちょヨカタアルよ。動きのシャープな感じとか、若々しくってりりしくって目のくゎっち〜♪
 「しょんだう」は、これで観るのは3回目なんだけど、前回は「江戸上り」の琉躍バージョンだったのだけど。いやぁ、今回のはめちゃめちゃ面白かった。美童と醜女の対比が凄くくっきりとしてて、また醜女の動きのコミカルさが極まっててケラケラ笑いながらみてしまいました。いいなぁ、最高です。家に帰って思わず舞踊曲集のCDをひっぱりだして反芻してみたり。いつもより多く回しております♪って手をぐるぐる回してみたり。アハハ。
 そして、照喜名朝一と城間徳太郎の独唱。はい、いろいろと勉強になりまする。2月に三越劇場で観た「よみがえる琉球 江戸上り」にも出てた人たちが踊っていましたね。あれ?観たことある人だって思ったらやっぱり。今注目の若手中堅どころでしょうか?こうやって、すこーし、ほんの少しずつこの世界の人たちの事も分かるようになってきたそんな6月の日曜日でした。あ、父の日ありがとうだったね。

 そして、初めてみる組踊「花売りの縁」。字幕の代わりに台詞を印刷したものが配られていました。組踊ってシンプルなだけに脳内でいろいろ補完したりして、頭の中は結構忙しいのでありました。アハハ。
 おちゃる役を子役は必ず通る道ってのは、能と同じかな?そうそう読売に下記のような宮城能鳳さんのインタビューがありましたよ。

「夫に会えた喜びだけではなく、長らく音信不通だった不満を含む、様々な心情が交錯する女性の心理を演じたい」と話す。
YOMIURI ONLINEの記事より抜粋

 自分に気づいて小屋に隠れた夫に会うために花笠を脱いで、髪を整えるシーンにその複雑な思いがあったように感じた。想像するとあの時間は無限であり一瞬であり、プラスとマイナスの感情がぐるぐると渦巻いていたに違いない。私だったらそこからはしばらく何も言葉が出てこなくなるかもしれない。言葉以前の感情が渦巻いてそれが自分を満たしてしまって言葉が紡げなくなって…。なんて、考えてみたり。いや、もうパンチしたい気分と抱きつきたい気分とケリ入れたい気持ちと頭ナデナデしたい気持ちと泣きたい気持ちと叫びたい気持ちとたくさん話したい気持ちと言葉もいらない目と目で会話したい気持ちと…∞

 衣装の展示も同時にされていたので、向こうで会った友人たちと見て回りました。やっぱホンモノは同じ黄色でも、まったく違う黄色で美しいすね。こうやって機会があったら素晴らしいホンモノに見て触れるのはとても大切だと思っています。とても素敵な機会を作ってくれた横浜能楽堂には感謝でございます。ありがたいことです。

 能楽堂を後にして、興奮さめやらぬまま感想を口々にしながら友人たちと向かうは中華街。そりゃぁ、横浜まで来たら行くでしょ。旨かった〜、楽しかった!