京都で琉球舞踊と組踊

 せっかく大阪に帰るので何かないかなぁ〜と、大阪に帰る前日幸人が表紙の篦暦を見ていたら先日のエントリーにも書いた公演、袋中上人京都布教400年記念公演「尚寧王と袋中上人再現」というのを発見。あれ、見覚えがあるなぁと思ったら2月に三越劇場で「よみがえる琉球 〜江戸上り」見たときに貰ったチラシにそれがあったよ。京都まではわざわざ行かないよなぁ〜とすっかり忘却していた。
 そんなわけで連休初日の土曜日に、京都府民ホール・アルティってなところまでかような演目を観に行って参ったのでござるよ。

 かなり意気込んでいた太郎のナニが、アレでせっかく大阪に帰って来たんだから、何か〜ということでやっぱりこれは観に行かなきゃだなと思い立ち。当日券はありそうだというので、電車に飛び乗って乗り換えて、乗り換えて、乗り換えて、たどり着いたは今出川。おぉ〜、京都御所が目の前やん。現地はご飯的に不便だなぁと思ったので京都駅の伊勢丹の地下で弁当をゲットすることに。あぁ〜、京なご飯がいろいろありますよ〜。ぐるぐる巡って、鱧関係にするか、バッテラ関係にするか悩みに悩んで鱧寿司ゲット。うひひひ。
 金木犀の香りがふわっと漂う御所の敷地の中。立派な松の木の下にテーブルとベンチがいくつかあったので、そこでお弁当をいただく事に。なかなかに心地よい秋晴れの木陰は、気持ちよいことこの上なし。ここで、このまま昼寝したいくらいにww
 Pentax Qのモードダイヤルに「BC」というのがあってこれが「ボケ・コントロール」という機能。絞りと被写界深度だけでなく、デジタル処理でボケ味を表現するらしい。ちょっとそれで金木犀とかお弁当を撮ってみた。あははは。それっぽくなるね。

 チケットと引き替えにパンフレットを貰って中へ。自由席だったので舞台と地謡と字幕が見やすそうな席を確保する。アルティは、思ったより小ぶりなホールでした。小さいのですが、前の席との高さの差が大きいので前の人を全く気にしなくていい感じでとてもよく見えました。前の数列以外は舞台を見下ろす目線になっている配置で。
 パンフレットは、今回は組踊はあらすじだけでした。新作だからかな?これまで観たものはすべて台本付きだったので、そういうものかと思っていたのですが、そーでもないのかな?後、観ながらあれ?って思って家に戻って調べてみたらやはり例の「江戸上り」の舞方とか地謡がかなーり被ってますた。なーりほそ!今回の出演者はこちら

 舞踊の時は地謡は上手側に並んでたのでよく見えたよ。若衆入子躍は、30cmくらいの青竹の両端にふさふさが付いたやつみたいなのをもって踊ってはりましたね。現在は継承が途絶えているとかで資料を基に復活させた創作舞踊だとか。「世なをりぶし」と「せんなこうぶし」という曲で。
 諸屯地謡は、仲間節と諸屯節は二人でしやうんがない節は三人でだった。へぇ〜。なんでそうなんだろう?と、そういうことがいちいち気になるお年頃。今後、またそういう機会があったら気にしてみよう〜!琴とか胡弓が安定しているのはええねぇ。舞台だったか、録音で聞いたのだったか、それらが???なアンサンブルも結構数々あってっつーか多かったので、そのズレてる気持ち悪さって、この世界ではそういうものなの?って思っていた時期もあったのだけど、そうじゃないと最近認識できてうれしいの心。そーだよな、それでいいんだよね。気持ち悪い感覚は変じゃないんだよね?
 あぁ、それにしてもあの手の動きとか肩の動きとか美しいですのぉ。
 しょんだうは、そんなわけで衣装も踊りも琉躍バージョンで美女その一が、こないだの饒辺真山戸の玉かねちゃんだったのだわよ〜ん。それにしてもしょんだうの三曲の唄って生臭くってあからさまでそれをああやってくそ真面目に黒朝姿で歌うってのは、なんともアヴァンポップの香りがして萌〜でございます。当時の最先端だもんね。げーじつの最先端は、やっぱアバンギャルドに突っ走って欲しいものなわけで。あぁ、オイラもそうやってアヴァンに走れる日が、いつか、生きている間に来るのだろうか?ww ま、今は基礎を知るところからなので、遙か彼方のことだけど。♪アハ

 新作だった組踊は「修羅の縁 ー尚寧王と袋中上人再見ー」という演目でした。 
 あらすじは、こんな感じだったかな。福島のいわき出身の袋中上人は、中国へ行こうとしたが果たせず琉球へ行ったそうでそこからがお話の始まり。袋中上人は沖縄で浄土宗を布教し、尚寧王もたいそう気に入って仏教寺を沖縄に建てたり。3年の滞在の後、袋中上人は日本に帰ることなる。その3年後薩摩に攻め込まれ、尚寧王は自ら人質となり江戸へ。江戸の帰りに京都で、尚寧王と袋中上人は5年ぶりに再会し旧知を語り合い、二度と会うことはないだろうと分かれる。尚寧王がついに琉球へ戻る。そして、袋中上人が伝えた念仏踊り=エイサーを見守る。

 地謡は紅型幕の向こうという見えない仕様でした。小さく残念。上人が日本に帰ることになった時の別れの宴で、「ちるれん節」で四つ竹を持った若衆が踊り、その後王妃が踊る。そして、続けて「真福地のはいちゃう節」で尚寧王と、上人と、具志頭王子が踊ってたかな。
 んで、薩摩侵攻を表す(多分)シーンでは、音楽に合わせて二才踊りっぽく二人の二才が、1mくらいの棒をもって踊っていました。両端に錫杖の先にある輪っかみたいなシャリン、シャリンするのが付いてて、打ち合わせたり。後は、「仲村渠節」。
 京都で上人と王が再会するシーンに「生きてたのかー」って唄が入るんだけど、この唄がなんだったのかパンフにも無くって、字幕にも出なかったので私には判断が付かず。知識がプアーですいまへん。そんで、「述懐節」でつらい別れを切々と。琉球に戻って王と王妃たちは再会。「仲泊節」では、王の船が帰ってくると待っている王妃の気持ちを。そんで、エイサーのシーンなのですが「仲順節」と「作たる米節」とパンフレットに。この「作たる米節」ってどっかで見た歌詞だなぁと思ってたらば、「スンサーミー」だったのことよ。なーんだ!で、パンフレットに「今年作たる米や 数珠玉の実りの如き」ってあって「数珠玉」のところで合点したオイラ。いや、教えて貰った時は「シシダマヌ」とカタカナでしか書いてなくて、その後何かで見た歌詞には「獅子玉ぬ」ってあって、なんか微妙になっとくしていなかったのだけど。だって、「獅子玉」ってなんじゃらほい?って思うやん。「数珠玉」だったらイメージしやすいわけで。あ、話が逸れた。

 全体として、シーンとシーンのつながりがいまいち唐突過ぎてよく分からなかったなぁ。時間的な流れがいまいちわかりにくくて、パンフレットを読みながらじゃないと把握できなかった部分もあったかな。シーンの頭にもうちょっと説明的な台詞が欲しかった気がしなくもない。ま、でも上人と王の再会シーンはちょっと熱くなりました。でも、あっという間に分かれてしまったのがちょっと残念。
 新作組踊というモノは、まだ「さかさま執心鐘入」しか見たことが無かったのでなんとも分からないことばかりですが、機会があったらちょっとずつ観ていきたいと思う次第。
 今回使用されていた紅型幕のデザインもなかなか興味深いポップな感じで。最初、右側の木が何の木か一瞬分からなかったくらい。梅でしたね。ざっぱ〜んな波の造形もなかなか。松竹梅と鶴亀が定番なのですな〜。亀になんで「耳」があるのか、すっごい気になっている今日この頃。ま、そのうち謎も解明されるだろう。(画像は京都御所にあった立派な松。なーんか、フェイクファー纏ってるみたいよね)

 いやしかし、よくよく考えたら今まで見たなかで一番高いチケットだったなと思った。交通費もよく考えたら馬鹿にできない金額(往復で3000円近くかかっちゃった)だったし。6000円は宮城能鳳、城間徳太郎、照喜名朝一も出た首里の祝い@横浜能楽堂と同じだもんなぁ。8月9月なんて無料であの出演者で見ちゃったからねぇ。や、もちろんユネスコ様様な結果なのはあるわけで。
 もちろん沖縄の外でこういうことをやるのは大変だとは分かっています。沖縄に行かなくても観れるというのはとても、とてもありがたいことなのだとは思います。本当に。
 でも、多分、東京だったらこの値段ではどーしようかなぁと悩んで行ってなかった気もするのも正直な気持ちで。今回はせっかくだからという観光客モードが過分に発動していたからにゃ。そう言えば客層の年齢層がめっちゃ高かった(客席の階段上るのもようような人が結構いらっしゃいました。ハラハラしちゃうくらいに)よ。この私でもここじゃ超マイノリティーの若造も超若造って思っちゃうくらいに年齢層が高くてちょっとびっくり。京都ってそうなん?って思ったり。東京で観た時はそれなりに年齢層はバラついていた感じがするんけどさ。あ、客層は昼間の公演ってのもあるかもね。やはり朝が早い民族系はこぞって昼の部だと思うしww
 アルティ会員だと3500円なんだよね。徒歩、チャリな人もたくさんいたからそれなのかしらんね。