父子忠臣の巻

 3月3日の雛祭りの日に国立劇場おきなわへ行ってきた。演目は一部が「男性舞踊家の世界 〜華薫る〜」で、二部が組踊「父子忠臣の巻」で。

 寒くはないけどどんよりとした空模様。Kawaさんが昼から浦添で打ち合わせがあるというので乗せていって(夜はてんもり本ぱーりーで合流で帰りはオイラの車一台で帰れるし)という話になり、ランチはどうしようと小雨の降る中とりあえずライカム方面。久しぶりに川満しぇんしぇいの寿味食堂もいいなと思ったのだけど、行ってみたいお店が中城にあってJuJuって言うんだけどと提案したら、琉大の近くのお店でKawaさんも一度行ってみたいと思っていたとかで、んじゃそこにしようと運転は任せて。
 果たしてそこは高台のとても気持のいい場所。奥間方面の東シナ海が望める感じ。目の前の庭の芝生も手入れが行き届いていて綺麗で、あいにくの空模様がざんねーん!!野菜カレーを頼んでみたよ。野菜の味がこっくりと出てカルダモン系かな?のスパイスがガツンと効いて美味しかった〜!スイーツもあって気になったけど、時間がなくなりそうだったのでサラっと離脱。
 せっかくのロケーションカフェ、次回は天気がよくて時間がたっぷりある時にリベンジしたい。スイーツもね。

 調子よく走っていたら安謝の交差点で側道に出るのを忘れて、あああ。琉球新報の前あたりでUターンしてなんとか10分前に国立劇場おきなわについてホッ。危ない、危ない。
 チケットは今回も窓口預けにしてある。それが一番安全で確実。友の会に入れば送料無料で送ってくれるのだけれど、沖縄に来てから「チケット東京の家に忘れてきたー」ってもどうにもならんしね。なんてありがたい素敵なシステム。粗忽ものにはうってつけ。感謝であります。

 第一部は、女踊をがっつりと。昼食後なのでちょっと危険でしたが、なんとかw。隣のおじちゃんは、スース―と気持ちよさそうですた。今まで女踊を観たことがあるのは新垣悟と東江裕吉の二人だけ。後は、初めて観るか観たことあっても二才踊りだったりして。そんなわけで、なよやかさって大事だなぁと思った次第。ほんのちょっとのことなんだろうけど直線ではなく曲線。で、何が見ていて気持ちいいのか、そうじゃないのかなんかを薄らともやもやと感じながら観ておりました。私の鑑賞眼なんてヒヨコ以前の卵レベルなので、キモチイイかフツーかナンダカナーくらいのカテゴライズで。
 そういえば、稲真積:新垣悟と瓦屋:東江裕吉は、房指輪をしていなかった。あれれ?そうなの?女踊は無条件につけるものだと思い込んでいたんだけど。東京に戻ってから友達にそのことを話したら「なんだろうねぇ、七踊り以外は付けないのかもね?」と。そーなのかー?後で調べてみよう。地謡は唄三線が最初ちょっと揃ってなくて、えええぇ?と驚いた。

 さて、組踊。

 いやいや、思った通りの男くっさい演目でござった(笑)
 いわゆる主君の仇討ものなので。えーと、「強吟全開」って言うんでしょうか?わははは。口説にのって踊る道行の踊りが面白かった。動く方向の話も、縦横ななめって感じで、おぉ、二才踊りの手の動きと同じだよと言っていたこの間の島袋光晴氏の話がそのまんまで、へぇ〜!!ホントだって。他にもいろいろ先日の国立劇場の講演であった組踊の作法とかポイントが出てきて、とても勉強になりました。知らないで観るのとはやっぱり大違いで、さらに深みにはまっていってしまいそうです。フムン♪
 と、話を思い出してタイトルの「父子忠臣の巻」は御冠船番組っぽいタイトルだなぁと思ったのですが、冊封氏の前で演じられた記録は無いそうで(華風を読むと)。

 道行の時に、後ろの高いところで小芝居している糸数の按司と山城の比屋の動きが何気に気になって、気になってついつい横目でそっちをチラ見。あそこは嫁さんの誕生ぱーりー会場で、手前は闇討ちに向かう道なわけで。舞台ならではの同一時間軸の立体構造がわかりやすくて。後、「間の者」って人が出てくる演目を観るのはこれが初めてで。フツーつうかいわゆる組踊口調じゃない感じに喋るのね。へぇ〜!!
 そういえば今まで観た演目って"庶民"って出てこない設定ばっかりだったんだな。(あ、かろうじて執心鐘入りの小坊主?)

 地謡は幕の後ろという感じで薄ら見えておりました。というか、薄らよりもっと何やってるかが良く見えててさ。えええぇ〜?と、結構気になっちゃった。あの、丸見えなんですけど…。いいのかな?いいんだろうな、きっと。まぁ、まだまだ沖縄は知らない世界なのでアレもありなんだろう。ふむふむ。そういや、二揚げ系の独唱とか無かった。あ、アーキーはあったけど

 そういえば、今回観たのは張り出し舞台形式(屋根、花道無し)なんだけど能舞台と似た感じがしないでもないのだけど、決定的に違うのが座席の向きなわけで。張り出した横の席とか首痛いよね、きっと。椅子も動いて舞台の方見れればいいのいね。その点能舞台は横から見る場合も舞台に向いて座れるわけで。国立劇場おきなわは、張りだしている意味があんま分からないなぁと思ったり。
 あ、あとさ、上演中もべらべら普通に喋ってる人がいっぱいいたのにびっくらこいた。い、家の茶の間でテレビ観てるんじゃないんだから…。しかも、舞台とは関係のない話をべらべら、べらべらと。喋るなとは言わないけどせめて耳打ちとかヒソヒソ話にして欲しい。どうやら、沖縄はそうらしいという話を後で聞く。まぁ、郷に入っては郷に従えはごもっともなんですがちょっと萎える〜。沖縄で観る限り慣れなきゃなんだろうなぁ、そういう文化は……。(正直、東京の国立劇場の方が客電とか含めて何倍も舞台に集中できるにゃ)

 ま、何にしろ色々観るのはとても面白いし、楽しい。まだまだ全てが新しいことで新鮮なのでいろんなことにキョロキョロしてますが、こうやって少しずつ理解が深まって行けばまた違った視点も生まれるわけで、そうやって観ることができる状況にある自分はなんて幸せものなんだろうとしみじみ思います。ありがとうございます。