「執心鐘入」と「花の幻」@世田谷パブリックシアター

 世田谷パブリックシアターに「執心鐘入」と「花の幻」を観に行ってきた。世田谷パブリックシアターは、実は行くのは初めてでちょっとオペラ座ちっくな感じの劇場でした。

 「執心鐘入」は、見るのは3回目。去年の夏の初めての沖縄芝居実験劇場以来だ。
 地謡は、紅型幕の前にずらっと並んで。下手から笛、琴、三線、胡弓、太鼓という並び。なんとなく太鼓は左端って思っていたので、あら?っと。終わってから友人達と、それは鐘が邪魔で鬼が見えないから場所変えたのかねと予想。なんたって最後のクライマックスは太鼓の見せ場なわけで、いやぁ〜良かったなぁ。独唱曲は、それぞれ個性があって楽しめた。組踊ではおなじみの私でも知ってる曲が並ぶし、結構楽しみなところ。私の中で安富祖は唄の節回しが色っぽい〜ってイメージです。ムフン♪

 「花の幻」はとても素敵な舞台だった。テーマは重いのだけれど、唄や踊りやらいろいろとあって。私が今まで見た新作組踊と言われるものは、古典と言われるものと同時代で琉球王朝まっただ中で衣装や登場人物も按司やら士族やらだった。でもこれは沖縄戦という近代の時代設定だし、今までみたのとどう違う舞台になるのかちょっと楽しみでした。
 オープニングで登場した黒い妖怪とその踊り、照明効果、SEに音楽、そしてその真ん中で踊るオミト。踊ると言っても組踊でなく演劇をみてるようかの演出。あー、なるほどこういうのが新作の一要素?と考えてみたり。
 それにしても佐辺良和の美しいことといったら〜!!今までみた中で一番きれいだったぁ。この人カムロモードより、尾類結いのが似合う気がするw。って、そんな沢山みてないけど。

 三線の神が登場するシーンは、鬼女が出て来たりして「執心鐘入」とリンクしていてこの二本をやったのはそういうことかと。執心鐘入では鬼女が退治されたが、今度は鬼女が勝つ。結局、踊玉城も和男も男は居なくなり女達が未来を作っていくみたいな?考え過ぎか。
 そして、その鬼の面をもって「執心鐘入」という演目があって云々っていう多重構造。
 「日本兵三線を折る」という仕立ては、正直なところ私には沖縄の人たちと同じように感じることはできないのだろうなと思う。生まれ育ってきた文化が違うだろうから。想像としてあの時代の三線はとても高価で大事なもので、代々受け継がれてきていわゆる家宝となるようなものが多かったんだろう、と。そして物としてだけでなく、「楽器」という芸能を動かす装置としての大事さ。そんなことかな?
 芸能一家の話だしね。三線一本あればワンダーランドを紡ぎさせるという力は凄いんだろうなと言うのはなんとなく感じる。

 地謡も独唱が多くて聞き所満載だったように思います。踊玉城が撃たれた時の七尺節(だったかな?)が、うるうる全開で。浜千鳥のシーンは素敵だったなぁ〜。うっとり。できれば最後の4番はあんな直ぐにフェードあうとするんじゃなくて澄子のソロがあってからが良かったなぁと。いや、もっと見たかっただけなんだけどw
 他にも踊りが色々散りばめられていて見ていてそれも楽しくて。黒い妖怪もっと出て来るのかと思ったらオープニングだけでしたね。もったいない?ww