琉球王朝の華 組踊 春秋座公演

 梅雨入り突入の京都へ行って来た。目的は、京都芸術劇場・春秋座で行われる組踊を観るため。
 京都かぁ、どうしようかなと暫く悩んでいたのですが地謡、立方、興味のある人が沢山出るのでやはり観に行こうと思い立ちチケットをゲット。演目は、鑑賞二回目となる『手水の縁』と、初めて観る『女物狂』の2本。京都で観る組踊は、去年秋の『尚寧王と袋中上人再現』以来のこと。

 今回は久しぶりに京阪特急で京都まで。経路的には出町柳まで行って叡山鉄道とかが電車アクセスなんだけど、京都はバス路線が充実しているわけで、ランチを三条あたりでしてバスで大学前まで行けばいいなと思い立ち。三条でどこでご飯食べようかなと足の向くままふらふらと迷い込んだ先斗町。美味しそうなランチ定食の店が並ぶわけで、ちょっと迷う。しかし、あまりゆっくりする時間が無かったのでふっと見つけたちょっとオサレなお寿司屋さんで海鮮丼。手前に広くて気持ちの良いカウンター席。ネタがどれも新鮮で、美味しかった〜。小さいながらもハモも入っていて、お、京都っぽいなぁと。そんで赤だしがまたええ味してんねやわぁ。油の乗ったネタの数々でちょっとめっとりした口の中をデザートの柚子シャーベットがさっぱりしてくれる。「土曜って道混んでる?雨やし、バスどうかな?」的な情報を板さんに聞きつつごちそうさまでした。ここ覚えておこう。

 春秋座は、両側に桟敷席もならび提灯もずらっと下げられて歌舞伎座的な劇場。座席もゆったりと広くて、何よりトイレの数が凄い!!これポイント高いよね。女子的にはww
 古い劇場とかだとトイレの数が限られて幕間の休憩時間ギリギリまで並んでいたりすることが良くあるけど、ここはそんな心配無用。

 京都芸術劇場は、京都造形美術大学にあり今回の公演は大学の田口教授が一年程前に組踊関係の琉球古典芸能の講義を行った際に、是非実際の公演をやりたいと国立演芸場の茂木プロデューサーと実現したものだという説明が最初にありました。
 ということで、上演の前に組踊の説明や、見どころ、聴きどころの説明などが詳しくあり私のようなヒヨコにもとても為になる時間。途中で胡弓の説明があり、奏者の又吉真也が登場して三絃から四絃になった経緯など楽しくわかりやすかった。パンフレットには台本と和訳があり、公演を観に行く楽しみの一つがこの頂けるパンフレット。後で読み返していろいろ勉強になります。

 今回は地謡は、上手に客席とは垂直方向に並んで。席がかなり後ろの方だったので、微妙に顔の判別が難しい距離だったのですが、声から真ん中が西江喜春だと。最近気が付いたのですが、唄三線が3人居ると大抵真ん中が一番の人が座るんだなぁと。今回の演目は二揚げの独唱曲が多いので、誰がどれを唄うのかと興味津々。一曲丸々一人で唄ったり、一番ずつ順繰りに唄ったり、唄わない人で三線を弾くのはどうなってるのかとか。手水の仲風と両方のアーキーは、もちろん西江喜春。わかっているのにアーキーには、やはり心が揺さぶられる。
 干瀬節の独奏の笛が素敵だった。なんとなく唄三線とのアンサンブルの干瀬節よりも饒舌で感情豊かな吹き方だった気がしました。あぁ〜、いいなぁ、笛。

 「手水の縁」は、見るのは二回目。前回は12月の国立劇場おきなわだったわけで、その時のこととかを思い出しながら鑑賞。やはり一度見ていると観るのにもちょっと余裕が出るみたいで、やんばるの森や海の色と匂いと湿度と光と音を二人の周りにバババーっと妄想しながら鑑賞してみたり。個人的な趣味的背景としては、山から流れおちる小さな滝から平地に流れ出る小川と、その斜面にヒカゲヘゴはマストな感じで。断然ヤシの木よりもヒカゲヘゴ!絶対、ヒカゲヘゴ!
 山戸って、良く考えたらめっちゃ強引やなぁ、初対面のお嬢さんに「水飲ませてくれへんかったら死ぬ〜」なんて、お前は諸星あたるかぁ!とか突っ込みを心の中で入れてみたりとか、距離が離れてると流れ落ちる汗は見えなくて気にならないなぁとか、余計なことも考えつつww

 「女物狂」は、思ったよりも単純な構造でわかりやすくなんとなく「執心鐘入」と似たイメージ。イメージね。盗人の宇座仁一が表情豊かで楽しませてくれた。そういう、ちょっと面白おかしい場面が挟み込まれたりするところなどからそう感じたのかな?あ、お寺が出てくるから?ww 狂女と鬼女もなんとなく重なるし。太鼓の効果音的な使い方とか。フムン、面白い。

 何度も観ることによってだんだんと理解が深まり、自分の中で広がって行く組踊の世界。演者によっても違うし、地謡によっても違う。そんなことがやっとちょこっとだけ分かってきたような気がします。今私に与えられているこの幸せな環境に甘んじて貪欲に喰らいつき、かたっぱしから口に放り込んでいる次第。ありがとうございます。わけもわからず口に詰め込んで、やっと咀嚼し始め味わい始めたところ。まだまだ呑みこんで消化する段階には達していませんが楽しんでいきたいと思う。それはこうやって企画、実現してくれる人たちがいるから私のようなものが舞台を楽しむことが出来るわけで、ありがたいことだなぁと。

琉球王朝の華組踊 (くみおどり) 春秋座公演
※字幕表示がございます。
日時 2012年6月9日(土) 13:30開場 14:00開演
会場 京都芸術劇場 春秋座
料金 【全席指定】
一般     3500円
シニア    3200円
学生&ユース 2000円
瓜生山学園生 1000円

◆「手水の縁」
山戸 東江裕吉
玉津 新垣悟
山口の西掟 川満香多
志喜屋の大屋子 宇座仁一
門番 田口博章
後見 嘉手苅幸代、山城亜矢乃

◆「女物狂」
母 宮城能鳳
人盗人 宇座仁一
座主 川満香多
小僧一 東江裕吉
小僧二 新垣悟
後見 嘉手苅幸代、山城亜矢乃
亀松 山内昌臣
童一 伊波心
童二 古堅聖也

地謡
歌・三線 西江喜春、神谷大輔、玉城和樹
箏 宮里秀明
笛 宮城英夫
胡弓 又吉真也
太鼓 比嘉聰

春秋座HP