世田谷で琉球舞踊と組踊

 Autumn Equinoxな23日に世田谷区民会館で行われた「組踊 特別鑑賞会」に行ってきた。こっちで組踊を観るのは今年3回目。っても、多分今年にこちらで演った分全部見てもMAX3回。おぉ、皆勤賞け?ww というわけで、人生5回目になる組踊鑑賞は世田谷ででした〜。(あ、写真は終わってからアンケートを書いたりお喋りしたりでダラダラとホールに残っていたら幕が上がって、演者勢ぞろいで記念撮影の時に撮ったもの。お客さんも撮影していいみたいな感じで大撮影大会が始まった。私もすかさず持っていたカメラでパシャ、パシャ、と。ラッキー!!ほとんどの人はサッサと帰っちゃって知らない筈)

 今回は整理券を貰ってきてくれた三茶の友達と、舞踊もフラも踊っちゃう三線友達の佐良浜的ねーねーと、真山戸と同じ苗字の友人(あんたの先祖ちゃうかー?と勝手に決めつけて誘ったw)と4人で。ま、現地に行ったらそれなりに知り合いには会うわけで。みんなちゃんと来てるねー。私以外の3人はお互いこの日に会うのが初めてだけど、共通の話題があればじぇんじぇん問題無し。舞台を見て、あーだこーだのそれぞれの視点と見解が面白い人たちなので集めてオイラ的に大正解ww

 今回も先日の「執心鐘入・さかさま…」の二本立ての時と同じように、立派な台本付きの冊子が配られていました。国立とかだとパンフは買わなきゃなので最初にこうやって配られてとてもありがたい。組踊とか唱えや唄の言葉がほとんどその場では分からないので始まる前にこうやって台本とかで筋を把握できるのはとても嬉しい。字幕も出るけど、字幕見ずに把握できればそれだけ舞台に集中できるわけだし。(組踊は今年から見始めた超初心者なんでわらかないことばかりなんですいません)

 琉舞も組踊も初めて鑑賞する三茶の友人に、始まる前とか間でいろいろオイラの知る限りの鑑賞の肝を入れ知恵。事細かに説明しなくても匂い的キーワードで把握してくれるので説明するのも面白い。江戸上り的若男子のレベル的説明だとか、ストーリ的に「無蔵」と「里」の説明は抜かりなく。「地謡の人は寧温ルックだよ」とか、「女踊りは兄ちゃんルックなー」とかが通じるからww

 舞踊は4演目。「老人老女」「若衆くてぃ節」「下り口説」「かしかき」ですた。ええですのぉ。こうやって音もアンサンブルで聴けるのでそれだけでもステキで。それぞれの演目の前に、唄や衣装などの説明がありました。ちょっとしたそういう知識があるだけでも、見る目に広がりが出るので初心者的にありがたいです。オイラ的には「若衆くてぃ節」と「下り口説」は初めて観た(生でね)わけで。目と耳を全開でうっとりと堪能。老女の打掛が、横浜の時のと同じ表が黄緑、中がサーモンピンクってやつだった。あの色の組み合わせは老女の髪の色とかとも合っていて華やかで好きだなぁ。
 やっぱり音楽に、唄にちゃんとのって踊ってる人の動きは、目と耳がリンクするので見ていて気持ちがいいよね。おんなじ一拍でもその一拍の中のどこで感じるかは音楽によって違うと思うし。この間バレエを観ていても思ったのだけど、一拍の中のそこじゃなくてこっちで感じて踊ってくれる方がこの音楽のグルーブ感では気持ち良く観れるんだけどなぁ〜と、まぁ無知な人間の勝手な気持ちですが。正直、舞踊のこともまだ全然何にも分かっていません。もう見たまんま、感じたまんまの気持ちしか私には言えません。すいません。
 結構前の方の見やすいいい席で地謡もバッチリ見える場所だったので、踊りも観たいし、地謡も見たい(見たいのよ。手とか動きとか色々ww)しで忙しかったのぉ。あはは。ねーねーが「あぁ、もう。全てが美しいわねぇ〜、あれ全部男よー!お化粧も上手いし」と目をキラキラさせておりましたww

 休憩を挟んで組踊。組踊が始まる前にそれぞれの楽器の説明がありました。無料だし、普及公演だしってことで初めて観る人も多いからかな?でも、これって大事かもって思った。そして組踊は「饒辺真山戸」。
 ざっとあらすじを説明するとこんな感じかね?
 前の年の春の花見で首里の饒辺真山戸と勝連方面の平安座玉かねが出会い、また逢おうと約束したもののそれぞれの両親の反対とか世間体とかからなかなか逢えずにいた。しんぼうたまらんくなった真山戸は、一目玉かねに会おうとはるばるやってきたが果たせず行き倒れてしまう。行き倒れたところを地元の長者に助けられて、そんなに会いたいんやったら物売りに変装して玉かねちゃん家に潜入してみればと提案され実行に移す。(ま、玉かねちゃんは深層のご令嬢なので簡単には逢えないちう設定かね?)で、潜入に成功して真山戸は「やぁ、僕だよ!逢いにきたよ」と。しかし、玉かねは「え?あんた誰?」と知らないふりをして「若い娘が変な噂がたったら困るでしょ?帰ってよ」とつれなく追い返してしまう。ガーン!!大ショックの真山戸は「僕のこと知らないなんて嘘だ。世間体が僕たちを隔てるかぎり生きていてもしょうがないよ」と心配して様子を見に来た長者に話す。なんとか長者は宥めようとするが真山戸は「すいません。僕のことは忘れてね、ごめんねって玉かねに伝えて下さい」と言って海に身を投げてしまう。長者から話を聞かされた玉かねは、そんなに思ってくれた真山戸に世間体を気にしてなんてことをしてしまったのだろうと悲嘆にくれて死のうとするが、両親のことを考えるとどうしていいかわからなくなって、泣き崩れてしまう。そこに運よく玉かね父の船に助けられた真山戸が「やっぱり生きてて良かった〜!」と登場して「やや?お嬢さん、めっちゃ泣いてるけどどないしはったん?」と。ま、後は「あぁ、ダーリン。生きていたっちゃ!」「やぁ、マイ・ハニー」でハッピーエンドな感じで。
 やっぱりこれも勝連周辺の話なんやね。首里方面と勝連方面ってそれぞれ勢力を誇っていて、まぁ、政略結婚とかもバンバンしてなんとかケンカしないようにしていたという時代背景とかもありそうだから、ロミオとジュリエット的家どうしの軋轢とかもあるのかもね。

 音楽的にも盛りだくさんで、ちょっと舞踊もあったりして結構楽しんで観ることができたかな。途中3人の美童が踊る武富節は素敵だったぁ。貫花は個人的に最近縁があるので余計に気になって。ねーねーとも、あの衣装もいいわねぇと盛り上がり。胴衣と下袴はラインが着物と違ってAラインになるわけで、その感じと踊りの絡み具合が素敵でかわいいーー!!と、キャァキャァしちゃいました。
 後半の大団円の前あたりの玉かねちゃんが悲嘆にくれるシーンは、結構ぐっときちゃいました。あぁ、やられた〜!!三茶の友人もその辺りはぐぐぐっと入っていて、真山戸登場の時で横で「おっしゃー!」とつぶやいていたしww 真山戸の「あんた、そこでそんなに泣いてどないしてん?」というところでは、二人して「お前のせいじゃ!」と舞台に突っ込み入れてみたり。

 唄は仲間節、早作田節、武富節、伊計離れ節、せんする節、散山節、干瀬節、子持節、述懐節、夜雨節、東江節、立雲節と、盛りだくさん。(正直初めて聴く曲もありますた)あれ?台本に無いけど、アーキー??節とかいうのもあったような?字幕で見て知らないなぁって思った記憶が…。独唱だったり、斉唱だったり、場面、場面で感情を揺さぶるように音楽がバーンと始まるのは結構気持ちがええすね。いや、地謡陣もかなり贅沢でええもん聴かせていたたなぁと。やっぱり古典の曲は、美しくてカッコイイよなぁと思ったり。(そいや、今年の春ごろに古本屋でなんとなく買った「琉球舞踊の世界〜こころとかたち〜」という1991年に沖縄のテレビで放送されたらしい公開講座(?)のテキストらしき分厚い本があるんだけど、そこに今回の地謡の人たちの20年前の姿がいっぱい載っていました。ほえ〜、みんな若い)

 かんけーないかもだけど、今回の紅型幕のタケノコが超らぶりーだった。あれ、ええな。

 こうやってコンスタントに見ると、耳も少しずつ、少しずつ慣れてくるのか聞き取れる言葉やいちいち日本語に翻訳しなくても理解できる言葉が増えてくるのだね。やっぱ耳鍛をえるのも重要だな。うん。なかなか東京じゃどうすればいいのか謎なんだけど。オイラのネイティブは大阪弁なのでうちなーぐちはやっぱり宇宙人語みたいやもん。違いが聞き取れない発音とかいっぱいある。一生懸命聞いても、"違う"ってことが認識できないわけで、認識できないと表現のしようも無くて、真似しろと言われても真似も出来ないよなぁ。

 昼ごろにはどんよりしていた空も、終わってでてきたらさわやかな秋晴れに。ちょっとひんやりする空気もとても気持ちよく。ま、お彼岸なわけだし夏も後ろ姿が見える感じになってきたわけで。世田谷区民会館は、区役所がある場所でもあるわけで最寄駅の松陰神社前(吉田松陰が祭られている)あたりは、商店街なんだけどなんだかこじゃれたお店がいろいろあって女子的にはちょっと楽しいエリアなのかもね。
 そんなわけで、こじゃれたカフェーで茶を啜って演目の感想にあーだーこーだと盛り上がったり、マドレーヌ女王様からマドレーヌを頂いて、その講釈をうかがったりと楽しいアフター・アワーズ。やっぱこのアフター・アワーズも大事よね!三茶友達おすすめのブーランジェリー・スドウでパンを買って帰ろうとしたけど、帰りに行ったら棚がほとんど空ですた。じゃんねん。